祖母が私に初めて難色を示した迷彩

クリマガ

終戦 迷彩

 「その服は、あまり好きじゃないなあ。兵隊さんの服だから」

 祖母は生前、迷彩柄の服を着ていた私に、少し悲しそうな顔をしながらこう言った。

 祖母は、私がすることをなんでも肯定してくれる人だった。

 先生を目指す時には、「向いてると思う」と。
 先生を辞めた時には、「よく頑張ったね」と。
 新たな仕事に就くときには、「次も頑張ってね」と。
 ライブやフェスに行くときは、「音楽会楽しんでおいで」と。

 人生、良い時も悪い時も、その時の私を受け入れてくれる人だったから、まさかファッションに難色を示されるなんて思ってもみなかったのだ。でも、だからこそ、戦争がいかに人の心に深く深く傷として残り続けるのか、感じたのを覚えている。

 といいつつ私は、迷彩柄が結構好きだ。なんとなく祖母の前では着ないようにしていたものの、一時期はミリタリーファッションがマイブームだったこともあるし、今もワンポイント程度なら身につけることもある。

 ただ迷彩柄の服を見るたびに、ファッションとして迷彩を楽しめる今の時代が多くの人の犠牲の上に成り立っていることを忘れてはならないと思うようになった。またオシャレとして迷彩柄を楽しめる日々がこれからもずっと続くように、戦争を肯定する姿勢だけは取らないと決めている。

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